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Release: 2026/01/30 Update: 2026/01/30

「社会人2年目になったら手取りが減った」問題について

はじめに

 

社労士二年目を迎えると「手取りが新入社時と比べて下がっている」と感じる方が少なくないかと思います。
それはどうしてなのかを紐解いていきたいと思います

 

手取りが減少する理由

1. 住民税の「後払い」システム

新入社員のうちは、前年の所得がない(または非課税枠内)ため、住民税が課税されません。

2年目の6月から、前年(1年目)の所得に基づいた住民税の特別徴収(給与天引き)が始まります。

  • 影響額: 年収にもよりますが、月額でおよそ1万〜2万円程度の手取り減少要因となります。

  • 「新入社員は住民税が免除されているボーナスタイムだった」と捉えると理解が得られやすいです。

2. 社会保険料の「標準報酬月額」改定

2年目の4月〜6月の残業代が増えた場合、定時決定(算定基礎届)により、9月(10月支給給与)から社会保険料が上がる可能性があります。

  • ポイント: もし1年目の同時期よりも2年目の春に多く残業をしていた場合、昇給額を保険料の増加分が上回ってしまう「逆転現象」が起こり得ます。

3. 昇給額 vs 控除増

「新入社員より安い」という感覚については、以下の比較を提示するのが有効です。

項目 新入社員(1年目) 2年目社員
基本給 初任給(基準額) 昇給後の額(数千円〜)
住民税 0円 数万円(天引き開始)
厚生年金等 標準報酬に基づき算出 昇給・残業増によりランクアップの可能性
結果 総支給は少ないが、控除も少ない 総支給は増えても、控除の増分が勝る
 

4. その他意外な盲点

  • 所得税の変動: 1年目は「1月〜12月」のフル期間働いていないため、月々の源泉徴収額が少なめに調整されていたり、年末調整で多額の還付を受けていたりすることがあります。2年目はフルで課税されるため、実質的な負担感が増します。

  • 組合費や共済会費: 2年目から正式加入となり、天引きが始まるケースも稀にあります。

 

 


2年目社員の「手取り逆転」シミュレーション

前提条件

  • 1年目: 月給25万円、賞与なし(4月入社のため)、独身、東京都勤務

  • 2年目: 月給25.5万円(5,000円昇給)、賞与年2回(計50万円)、独身

  • ※1年目の住民税は0円、2年目から前年の所得(約225万円)に対して課税開始。

 

1年目と2年目の「月給」比較表

項目 1年目(4月入社時) 2年目(6月以降) 差引
総支給額(額面) 250,000円 255,000円 +5,000円
健康保険料 12,500円 12,750円 -250円
厚生年金保険料 22,875円 23,790円 -915円
雇用保険料 1,500円 1,530円 -30円
所得税 5,270円 5,440円 -170円
住民税 0円 9,200円 -9,200円
手取り額 207,855円 202,290円 -5,565円

解説3つのポイント

1. 住民税の「後払い」という落とし穴

最大の理由は、住民税が「前年の所得」に対してかかる税金だからです。

新入社員は前年の所得がないため、1年目の手取りは「税金が1つ免除されている状態」にあります。2年目の6月から、この「免除期間」が終わり、本来の税負担が始まるため、手取りがガクンと減るのです。

2. 5,000円の昇給では「増税分」に勝てない

上記のシミュレーションでは、基本給が5,000円アップしていますが、新たに発生した住民税(約9,200円)によって、結果的に手取りは約5,500円減少しています。

「給料が上がったのに手取りが減る」という現象は、若手の昇給幅が税金の増加額を下回るときに発生する、統計的にもよくある現象です。

3. 社会保険料の「等級」の影響

4月〜6月の残業代も重要です。もし2年目の春に多く残業をしていると、「標準報酬月額」の等級が上がり、9月以降の社会保険料がさらに高くなる可能性があります。これが重なると、手取りの減少感はさらに強まります。


最後にメッセージ

こういう風に考えた方がいいかもしれません

「手取りが減ったのは、決して会社からの評価が下がったわけではありません。むしろ、あなたが社会人として一人前に納税し始めた証拠です。
給与明細の『控除』欄にある住民税の項目を、去年の明細と比較してみてください」
実際に「額面(額面給与)は増えているか」を確認してもらうのがベストです。

 

このように考えることで、手取り減少の不満が「仕組みへの理解」に変わるはずです。

 

大切なのは『手取り』だけでなく『額面』を確認すること。そして、この時期こそ固定費の見直しなどマネーリテラシーを高める絶好のタイミングです

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