「伝わっていなければ、言っていないのと同じ」心理的安全性の原則論
はじめに
「伝わっていなければ、言っていないのと同じ」という考え方は、個人的にすごく大切にしていて、教育の原点でもあり、心理学的にも「発信者責任(Communication is the response you get)」の原則に則った非常に正しい姿勢だと思っています。
今回はさらに教育の質を高めるための「4つの観点」を整理しました。
4つの視点
1. 心理的安全性の確保と「質問の歓迎」
「1回説明したよね」という言葉は、部下の心理的安全性を一瞬で破壊します。 質問を封じ込めることは、ミスを隠蔽させ、成長を止める最大のリスクです。
これを言われると、わからないことを質問することがしずらくなるし、一番痛いのが、上司側が「説明した気になっている」つまり「相手に伝わっている」と勝手に思い込んでいることがあります。
これって多いのが、仕事ができすぎてしまうあまりに、相手の気持ちが理解できない人だったり、仕事が自己流で複雑なことをやりすぎて、他の人だったらシンプルにできてしまうことを、逆に難しくしていて複雑怪奇で伝わっていないというパターンがあります。
部下の立場から見ると、他の方法だったら簡単にできるのに、上司がアナログなあまり難しくしてしまっているパターンも往々にして見られます
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「わかった?」ではなく「どこが不明確だった?」:
「わかりました」は、部下にとっての自己防衛の言葉になりがちです。「私の説明で、補足が必要な部分はどこかな?」と、不十分さの責任を自分(上司)に置くことで、部下は安心して質問できます。
また、相手の意見も取り入れるようにしましょう。これにより上司も自己成長につながる可能性もあり、部下から逆にアドバイスをもらうことでコミュニケーションが上がるかもしれません -
「何度も聞いて」という姿勢の明文化:
「この業務は複雑だから、3回は聞き直すのが普通だよ」と最初からハードルを下げておくことが、部下の安心感に繋がります。
2. 認知的負荷を考慮した「スモールステップ」
専門知識(例えば社労士など)があればあるほど、無意識に「これくらいはわかるだろう」という知識の呪縛に陥りやすくなります。
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「全体像」→「細部」→「全体像」のサイクル:
質問者様が実践されている「目的・効果」の説明は最高のアプローチです。そこに加えて、一度に教える量を細分化し、「10分教える → 5分やってみる」といった、インプットとアウトプットを細かく繰り返すのが効果的です。
3. 「ティーチング」と「コーチング」の使い分け
「わかるまで説明する」ことと併せて、「自分で考える余白」をどう作るかが、自走する部下を育てる鍵になります。
| 段階 | 手法 | 具体的なアプローチ |
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初期 (導入) |
ティーチング | 質問者様がされているように、目的や手順を徹底的に説明する。 |
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中期 (習得) |
シャドーイング | やっているところを見せ、次に部下がやるのを横で見守る。 |
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後期 (定着) |
コーチング | 「もし〇〇というケースだったら、どう判断する?」と問いかける。 |
4. 法改正や最新情報の「背景」を共有する
例えば社労士の業務において、ルール(法改正)だけを教えても部下は苦痛を感じます。
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「制度の趣旨(立法趣旨)」を語る:
「なぜこの法改正があったのか?」という社会的背景を伝えることは、質問者様が重視されている「なぜやるのか」の最上流です。これが理解できると、部下は単なる作業者ではなく、専門家としてのプライドを持って仕事に向き合えるようになります。
まとめ:上司の「あり方」
「伝わらないのは自分の責任」と捉える謙虚な姿勢こそが、部下にとって最大の信頼の拠り所です。
「説明のゴールは、相手が同じ内容を他人に説明できるようになること」
この基準を部下と共有し、「教える側と教わる側の共同作業」として進めていくのが理想的ではないでしょうか。









