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Release: 2026/01/16 Update: 2026/01/16

<コラム>社員満足度が低い会社がやりがちなワナ~6か月定期券~

はじめに

色々と会社を訪問したりヒアリングしているうちに

ふと気づいてしまうことも多々ありまして、最近感じるのが

「6か月定期支給」をする会社って離職率が高い傾向にあるような気がしてます

(正確にデータを取ったわけではないですが)

 

6か月定期での支給のメリットは「コスト削減」が最大の目的ですが、その反面で事務コストや心理的影響などのデメリットも無視できません。専門的な視点からメリット・デメリットを整理しました。

 

 

 会社側の視点:メリットとデメリット

メリット

●法定福利費・通勤費の圧縮

1か月定期×6回分と6か月定期1回分では、一般的に15%〜20%程度の差額が生じます。
1人あたり数万円の削減でも、従業員数が増えるほど年間では大きなコストカットになります。

 

●振込手数料の削減

毎月の支給から年2回の支給に切り替えることで、振込に関する事務手続回数(および手数料)を減らすことができます。

 

 デメリット(事務負担とリスク)

●清算事務の複雑化

中途退職や転居時の「払い戻し計算」が非常に煩雑です。
鉄道会社の払い戻しルール(1か月単位、手数料、使用済み月数の計算)に合わせる必要があり、過払いの回収トラブルも発生しやすくなります。

 

●社会保険料(標準報酬月額)への影響

6か月分をまとめて支給する場合、健康保険・厚生年金の算定において「6分割した額」を各月の報酬に含める必要があります。随時改定(月変)のトリガーになりやすく、管理が複雑です。

 

●キャッシュフローの固定化

少人数の会社であれば、一時期に多額のキャッシュが流出することが資金繰りに影響を与える可能性もあります。

 

 

従業員側の視点:満足度への影響

 

「せこい」と感じられる要因は、単に金額の問題だけでなく、「従業員の立て替えリスク」と「拘束感」にあります。

 

●資金繰りの負担

多くの会社では「後払い(給与と同時)」で支給します。6か月分を先に自分で購入し、後から補填される形になると、新入社員などにとっては数万円〜十数万円の立て替えが大きな負担となり、不信感に繋がります。
 

●柔軟性の欠如

「半年間はルートを変えられない」「退職しにくい」という心理的拘束を感じさせます。昨今のハイブリッドワーク(出社と在宅の併用)が進む中、6か月固定の支給は時代の流れに逆行している(実態に合っていない)と捉えられるリスクがあります。

 

 実務上の留意点(法改正・最新トレンド)

 払い戻しルールの明文化

就業規則や給与規定に「1か月未満の端数は切り捨て(または日割りしない)」といった払い戻しルールを明確に定めておかないと、退職時の清算で揉める原因になります。

 

「実費精算(実出勤日数)」への移行

DX化が進み、最近では「6か月定期」をやめ、「出社した日のみ実費支給(上限は1か月定期代)」とする企業が増えています。

 

会社: 在宅勤務が多い場合、定期代より安く済む。

社員: 実際に使った分が出るので公平感がある。

事務: 経費精算システムと連動すれば、清算の手間が激減する。

 

 

まとめ

比較項目 1か月支給 6か月支給
直接コスト 高い 低い(2割弱お得)
事務負担 標準 非常に重い(退職時等)
ES(満足度) 普通 低下リスクあり(立て替え等)
社会保険実務 シンプル 複雑(6分割計算が必要)

 

結論として、事務コスト(人件費)を考慮すると、数百人規模の企業でない限り、6か月支給による「浮いた運賃」よりも「管理コストとES低下の損害」の方が大きくなるケースも多々あります。

 

心理的なコストって、目に見えづらいですがすごく大切です。

その心理的デメリットが思わぬコスト増のトリガーになることはリスク計算に入れた方がいいと思います。

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