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Release: 2026/01/20 Update: 2026/01/20

<注意喚起>「失業保険の金額・期間を増やせる」とうたう申請サポートにご注意ください

はじめに

 

 現在こうした「失業保険の金額・期間を増やせる」とうたっているHPが横行しており、危惧しております。
こういったトラブルに巻き込まれないようにこのような「申請サポート」業者が行っていると推測される手口と、その法的リスクを整理しました。

 これらの業者が提示する「最大300万円」や「受給額の大幅増」といった数字は、単なる手続きの補助ではなく「本来は該当しない給付要件に、強引に(あるいは虚偽の事実を積み上げて)当てはめる」ことで生み出されている可能性が高いです。

 具体的には、以下の3つの仕組み(手口)が組み合わされていると考えられます。

 

3つの手口

 

1. 離職理由の強引な「特定受給資格者」への書き換え

自己都合を「会社都合(特定受給資格者)」にスライドさせる手法です。

  • 残業時間の偽装: 離職前3ヶ月間に一定以上の残業があったことにさせて「特定受給資格者」に該当させるよう、証拠の作り方を指南します。

  • ハラスメントの捏造: 「上司からパワハラがあった」というストーリーを作成し、ハローワークに対して異議申し立てを行うよう誘導します。

    これにより、給付制限期間(2ヶ月)の撤廃と、所定給付日数の大幅な延長(最大330日など)を狙います。

 

2. 「就職困難者」への認定誘導(虚偽の診断書など)

「最大300万円」といった高額な数字を出す場合、単なる会社都合への変更だけでは日数が足りないことが多いため、「就職困難者」枠を狙わせるケースが目立ちます。

  • 精神疾患の装い: 特定の提携クリニック等を紹介し、「うつ病」や「適応障害」の診断書を取得させます。

  • 効果: 就職困難者として認定されれば、45歳以上65歳未満で被保険者期間1年以上あれば360日の給付が受けられます。これにより、日額上限×360日で、総額が跳ね上がる仕組みです。

 

 

3. 社会保険(傷病手当金)との組み合わせ

「最大28ヶ月受給可能」といった極端な期間を謳う業者は、雇用保険だけでなく健康保険の「傷病手当金」をセットで提案しています。

  • 退職前に受診して傷病手当金の受給資格を得させ、最長1年6ヶ月受給。

  • その受給終了後に、雇用保険の受給期間延長を解除して失業給付(就職困難者枠)を受ける。

    合計で約2年半(30ヶ月前後)の受給を「パッケージ化」して販売しているのが実態です。

 

 

注意すべきリスク

こうしたサポートは、実態として「社会保険労務士法違反(非弁行為)」および「詐欺・不正受給の教唆」に該当する可能性が極めて高いものです。

リスク項目 内容

3倍返し

(ペナルティ)

不正受給と認定された場合、受給額の返還に加え、受給額の2倍(合計3倍)の納付が命じられます。

300万円受け取ったなら、計900万円を支払うリスクです。

コンサル料の搾取 受給額の10〜20%といった高額な成功報酬をとるケースが多く、受給者本人のリスクが圧倒的に高いです。
刑事罰 悪質なケース(虚偽の診断書作成など)は詐欺罪として立件されるリスクがあります。

国民生活センターからも、2025年12月に「失業保険の給付額等を増やすことができるとうたう申請サポートに注意」という注意喚起が出されたばかりです。
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20251203_1.html

  • 相談件数の急増: 2021年度(42件)から2025年度(10月末で216件)と、わずか数年で5倍以上に増えています。

  • 悪質な手口の認定: センターの資料では、「うつ病の診断をもらうためのマニュアル」を配布したり、特定のクリニックへの受診を強要したりする事例が報告されています。

  • ハローワークの対策: 2025年以降、ハローワークではこうした「サポート業者」の存在を警戒しており、特定のクリニックの診断書が続く場合や、不自然な異議申し立て(離職理由の変更)に対して、調査を厳格化しています。

 

「雇用保険の給付は法律で厳格に定められており、第三者の介入で『魔法のように』増えることはありません。虚偽の申請は一生の不利益になる」となる可能性が高いです。

ご推測の通り、これらの業者は単なる手続きの補助ではなく、「制度の隙間を突いた不正な読み替え」を指南しているのが実態です。

 

 

近年の法改正(教育訓練給付金)

教育訓練受講による給付制限期間の「撤廃」

2025年4月の法改正により、自己都合退職でも「教育訓練」を受けるなどの条件で給付制限が短縮(2ヶ月→撤廃等)されるなど、「正当な方法」で早くもらえる道も広がっています。

怪しげな業者に頼らずとも、改正法に基づいた正しい受給プラン(リスキリング支援等)で受給することが可能です

これまでは、自己都合退職の場合、原則として「2ヶ月」の給付制限期間がありましたが、2025年4月からは、離職期間中または離職直前に、厚生労働大臣が指定する教育訓練(リスキリング)を受講する場合、給付制限が免除(0ヶ月)されます。

 

項目 改正前の原則 2025年4月からの新制度
給付制限期間 2ヶ月(5年で3回目以降は3ヶ月) 0ヶ月(即受給開始)
適用条件 なし 指定の教育訓練を受講すること
狙い 待機期間の短縮 主体的なリスキリングと早期再就職の促進

 

重要ポイント:

  • 対象となる教育訓練: 専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、一般教育訓練など、厚労省の指定を受けた講座が対象です。

  • 受講タイミング: 離職後だけでなく、離職直前に開始している場合も含まれます。

  • 「自己都合」のままメリットを享受: 業者に頼んで離職理由を偽装(会社都合へ変更)しなくても、学ぶ意欲があれば即受給が可能です。

 

2. 「自己都合」の給付制限期間そのものの短縮(1ヶ月へ)

教育訓練を受けない場合でも、2025年4月からは自己都合退職の給付制限期間が、従来の「2ヶ月」から「1ヶ月」に短縮されました。

※ただし、5年間に3回以上の自己都合退職を繰り返す場合は、現行通り3ヶ月の制限が適用されます。

 

3. 教育訓練給付金の拡充(最大80%)

  • 専門実践教育訓練:

    これまでは最大70%でしたが、受講後に賃金が上昇した場合などの追加要件を満たすと、最大80%まで補助されます。

  • 教育訓練休暇給付金の新設:

    働きながら、あるいは休暇を取って学ぶ場合に受給できる制度も整備されています。

 

さいごに

「最大300万円」といった謳い文句は、受給者を犯罪(詐欺罪)の片棒を担がせる極めて危険なものです。
2025年以降、ハローワークはマイナンバー等を通じたデータ連携を強化しており、「退職後すぐに別の会社でフルタイムで働き始めたのに、就職困難者として申請していた」といった矛盾が後から発覚するケースも増えています。
こういった業者にひっからないように気をつけましょう。

 

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