本当にあった怖い雇用契約書①試用期間について
『雇用契約書』きちんとアップデートできてますか?
個人の方から相談があった件で、とても変な本当にあった試用期間についての相談です
期間の定めあり
2026 年 2 月1日~2026 年 3 月 31 日
その後、3 か月ごとに自動更新。最長で 60 歳を迎える月の末日まで
試用期間
2026 年 2 月 1 日~2026 年 4 月 30 日上記の書き方ってこれでいいのですか?
期間の定めと試用期間があっていない感じがするのですが?
上記について、この記載には「法的な不整合」と「運用上のリスク」の2点が潜んでいます。
特に2024年(令和6年)4月の労働条件明示ルールの改正、および2026年現在の実務慣行に照らして整理します。
1. どこが「おかしい」のか?
一番の問題は、「最初の契約期間(2ヶ月)」よりも「試用期間(3ヶ月)」の方が長いことです。
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論理的な矛盾: 2026年3月31日に最初の契約が終了するのに、試用期間は4月30日まで続くことになります。「一度契約が切れるのに、試用(見極め)だけが継続する」というのは、契約の独立性を考えると不自然です。
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実務上のリスク: もし3月末で「更新しない(雇止め)」と判断した場合、それは「契約期間満了」なのか、「試用期間中の適格性判断による本採用拒否」なのかが曖昧になります。後者の場合、解雇権濫用法理に近い厳しい判断を迫られるリスクがあります。
2. 2024年4月改正法に基づく「更新上限」の明示ルール
2026年現在、有期雇用契約においては「更新上限(通算契約期間や更新回数の上限)」がある場合、その内容と理由を明示しなければなりません。
ご提示の「最長で60歳を迎える月の末日まで」という記載は、この「更新上限」に該当します。この場合、なぜその上限を設けるのか(例:定年年齢と合わせるため、等)を、新しく契約する際や上限を新設・短縮する際に説明する義務があります。
3. 社会保険労務士として推奨する修正案
実務的には、以下のいずれかの形に整えるのが一般的です。
【案A】最初の契約期間を試用期間に合わせる(推奨)
最初の契約でしっかり適格性を見極めるパターンです。
雇用期間: 2026年2月1日 ~ 2026年4月30日
試用期間: 上記期間を試用期間とする
更新の有無: 更新する場合がある(3ヶ月ごとに更新)。
更新上限: 満60歳に達する月の末日を上限とする。
【案B】試用期間を最初の契約期間内に収める
雇用期間: 2026年2月1日 ~ 2026年3月31日
試用期間: 2026年2月1日 ~ 2026年3月31日
(※4月1日の更新以降は本採用とする運用)
4. 社労士として見逃せない「無期転換ルール」の罠
3ヶ月ごとの「自動更新」で「60歳まで」とすると、多くの場合、途中で「5年(無期転換ルール)」の壁に当たります。
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2026年2月〜: 3ヶ月更新を繰り返す。
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2031年2月〜: 通算5年を超えた時点で、労働者に「無期転換申込権」が発生します。
💡 まとめ:チェックポイント
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試用期間 ≦ 契約期間 になっているか?
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更新上限の理由説明 がなされているか?(2024年改正対応)
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「自動更新」という表現は、雇止めを困難にするため、「更新の判断基準に基づき判断する」という表現への変更を検討したか?
実はまだいくつか怖い雇用契約書がありますので、続きは次回に








