労災保険についての基礎知識
はじめに
みなさんは、病気やケガをされた時には、病院やクリニックに行って診療してもらったことが一度はあるかと思いますが、その時に保険証を出して多くの方は3割負担で診療を受けることができます。 ただ、この健康保険は「業務外の病気やけがに対して給付を行うもの」と定義されていますので、もし仮に業務中にケガをした場合(業務上のケガ)には、原則的に健康保険は使わずに、「労災保険」が適用されます。
業務中のケガや病気
業務中のケガや病気になった場合には健康保険ではなく、労災保険(以下「労災」)が適用されることになります。
まずはなにより、ケガや病気になったときは医師の診断を受けることが大切です。
その際に、症状と原因との因果関係をきちんと明確にするために受診することが望ましいです。
<質問コーナー>
労災はパートでも使えるの?
労災は、正社員はもちろん、パートやアルバイトの方にも適用されます。
また労災は、業務上でのケガだけではなく通勤災害でも適用されます。
職場へ向かう途中に交通事故にあったり、駅の階段で転んでしまいケガをしてしまった場合には、労災が適用されます。
ケガの程度は?
ケガの大小は問いません。骨折までいかなくても、打撲やねんざなどであっても労災が適用されます。
最近よくあるのが業務のときに重たいものを持った時におきる「ぎっくり腰」です。介護職員や保育士、倉庫作業をされる方に多く、その場合にも労災が適用されます。
費用はかかるの?
労災の場合は治療費が全額労災での費用負担になるので、支払窓口での支払いが不要となります。
労災の申請手続きがまだ手続きが完了していないときは、一時的に窓口で10割負担で後日返金という場合もあります。
もし休業した場合はどうなるの?
症状が重いため、業務を休養しなければならない場合は、休業の4日目分以降は、平均賃金の6割が支給されるほかに+特別支給金2割=合計8割の休業補償を受けることができます。
労災あるある
労災の申請の時に、よく聞く話で会社が「労災を使わせてくれない」というご相談を受けます。
ただ、労災というのは会社が使わせるというのは関係なく、労災を適用するかどうかを決めるのは労働基準監督署が決定することになります。
(お恥ずかしい話ですが)以前私が勤務していた会社に上司にそういうタイプの人がいて、「その程度のケガで労災なんか使えないよ」と言っていたことを思い出しますが、業務上でに起きた災害(ケガ)である以上は、ケガの程度は関係なく労災が適用されます。 この給付については「療養(補償)給付」といいますが、こちらは全額労災から費用負担されますが、その内容については治療費だけではありません。
療養(補償)給付の補償対象になる費用例
・治療費
・検査代
・薬代
・装具代
・手術代
・食事代
・入院費
・看護料
・差額ベッド代(個室料)など
さいごに
労災について、特に多く相談を受ける事例である業務上・通勤時の病気やケガ「療養(補償)給付」について書きました。
またそれに伴って会社を休んだ場合には「休業(補償)給付」、治らずに身体に一定の障害が残ってしまった時には「障害(補償)給付」という制度もあります。
もし業務上や通勤時のケガで分からないことやお困りの方は、ご遠慮なく当事務所までご相談いただければと思います。
PS:わかりやすく読めるように、一部法律上の用語ではない言葉で説明していますが、その点はご了承ください。