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Release: 2024/04/23 Update: 2024/04/22

『36協定』とは?~労働時間のルールを今一度確認しましょう

36協定とは何か

 

36協定の定義

 36協定とは、労働基準法第36条に基づいて労使間で結ばれる特別な協定を指します。
この協定は、法定労働時間を超える時間外労働や休日労働を行うためのルールを定めることが目的です。
企業が労働者に法定時間を超えて働かせる場合、36協定を締結し、届出をすることが法律で義務付けられています。

 

36協定の成立基準

 36協定の成立には、労働者側を代表する組織、つまり労働組合または過半数を代表する労働者の同意が必要です。協定を締結する相手が労働組合である場合は、その組合が過半数組合である必要があります。
また、組合が存在しない場合は過半数代表者がこれを代行します。
このプロセスを透明性のあるものとし、適正な労使関係を築くことが求められます。

 

36協定の役割と重要性

 36協定は、労働者の健康と福利を保護し、過度な労働を防ぎつつ、企業が臨機応変に人員を配置できるようにするための重要な役割を果たします。時間外労働の上限規定を設けることで、長時間労働を是正し、ワークライフバランスの実現に寄与するとともに、労働者の健康管理と労働生産性の向上を目指しています。
また、36協定には刑事罰の規定があるため、企業に対して法令遵守の徹底を促す観点からもその重要性は高く、労働環境の改善に繋がるとされています。

 

残業と36協定

残業上限規定とは

 36協定という用語は、時間外労働や休日労働に関する労使間の合意を指しますが、この協定の中でも残業上限規定は特に重要です。この規定では、労働者の健康保護とワークライフバランスの推進を目的に、時間外労働の上限が定められています。具体的には、労働基準法に基づき、1か月あたりの時間外労働は45時間、1年間での上限は360時間とされています。ただし、特別な事情がある場合には、これを超えることも可能ですが、その際にも36協定を通じての届出が必須となります。

 

特別条項とは

 36協定における時間外労働の上限を超える必要が生じる場合、特別条項を設けることができます。この特別条項は、例えば繁忙期や緊急の業務が発生した際に、法定上限を超える時間外労働を可能とするものです。
ただし、特別条項を用いるには、労働者側の代表との合意が必要であり、適用する期間や上限時間、対象となる業務など、詳細な内容を協定書に明記する必要があります。そのうえで、厚生労働省への届出が求められます。

 

一月あたりの残業時間と罰則

 36協定では、1ヶ月あたりの残業時間が法律で定められています。
一般的に、時間外労働の上限は月45時間とされており、これを超える残業を行う場合には36協定に基づく特別条項が必要となります。万が一、企業が36協定を結ばずに法定の残業時間を超えて労働させた場合、労働基準法違反として厳しい罰則が課せられる可能性があります。これは、企業に対する金銭的な罰金だけでなく、労働者の健康被害が発生した場合には、さらに重い責任が問われることになります。したがって、36協定の適切な届出と遵守は、法令順守のみならず、労働者の健康と安全を守るためにも重要な役割を担っています。

 

36協定と労働基準法

労働基準法における働き方

 労働基準法は労働者の権利と福祉を守るために設けられた法律です。
この法律に基づくと、労働時間、休憩、休日などの基本的な労働条件が定められています。
36協定とは、この労働基準法の第36条に基づき、通常の労働時間を超える時間外労働や休日労働を行うための労使間協定のことです。労働基準法では、時間外労働に対しては、労使が協定を結び、その範囲内でのみ実施が認められています。このように、36協定は労働基準法の枠組みの中で、柔軟な働き方を可能にする重要な役割を持っています。

 

法定休日と36協定

 法定休日についても、36協定の規定が適用されます。
労働基準法では、週に1日以上の休日を設けることが義務づけられており、休日に労働をさせる場合には、同じく36協定に基づく届出が必要となります。これにより、企業は法定休日に労働する場合でも、事前に労使間で合意し、その内容を届出することで、法的な枠組みの中で対応することが可能になります。つまり、36協定は労働者の休息権を保障しつつ、必要に応じた労働を可能にする規制として機能しています。

 

労働時間と健康への影響

 労働時間が長期間にわたって過剰になると、労働者の健康に多大な悪影響を及ぼすことが知られています。これに対処するため、36協定では時間外労働の上限規定を設けることで、労働者の健康を保護することが目指されています。
また、特別条項を設けることで、特定の繁忙期などにおける一時的な時間外労働の増加にも対応しています。しかし、これらの規定は、適切に運用されることで初めて労働者の健康保護に繋がります。
企業と労働者双方が、36協定の意義と役割を正しく理解し、健康と労働のバランスを重視することが求められています。

 

36協定の新様式と変更点

新様式の概要

 36協定の新様式では、時間外労働及び休日労働に関するルールがより詳細に規定されています。これには、時間外労働と休日労働の上限時間、対象者、届出方法などが明確に記されていることが特徴です。また、労働者の健康管理と生活の質を守るため、企業はこれらの規定を遵守する責任があります。

 

改定の目的と背景

 この新様式の改定は、労働時間の適正管理と労働者の健康保護を強化することを目的としています。長時間労働の是正とワークライフバランスの推進が背景にあり、36協定をより実効性のあるものにするための変更です。法定労働時間を超過する労働を企画的に管理し、過労死等の防止に向けた対策の一環として導入されました。

 

新様式で変わる労働環境

 新様式の導入により、労働環境は大きく変わることが予想されます。
時間外労働と休日労働の厳格な管理により、労働者の健康が守られ、ワークライフバランスが改善されることが期待されます。
また、時間外労働の上限規定や特別条項への遵守が求められることにより、企業は労働時間の管理を徹底しなければならなくなり、労働基準法に基づく適正な労働慣行が一層推進されることになります。

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